予約の重要性とキャンセル対応2
~新患の大切さとキャンセルフォロー~

シリーズで、新患の獲得と繰り返し来院していただくことの重要性を解説しています。
新規、リピートともに予約が絶えない安定経営のクリニックを作るために重要な点です。

まず前回の記事では、フロービジネスとストックビジネスの違いについて解説しました。
歯科医院の基本は来院されるごとにサービスを提供して対価を得るフロー型ですが、スタッフの力によってファンの多いストックビジネス型にもなれます。

そうした安定性の高い医院を作るためのキーワードは2つ「新規流入」「ファン化」です。
今回は新規流入について解説します。

新規流入の重要なポイントは次の4つです。
1.新患が来院するまで
2.新患の金銭的価値
3.新患の無断キャンセル
4.新患来院時の対応

1.新患が来院するまで

一般的に歯科医院で働いていると見えづらい部分です。そこで患者さんの立場になって考えてみてください。
初めての歯科医院に行くこと自体、多くの場合はストレスがかかる行為です。
探して、予約して、実際に行くという3ステップに、
それぞれクリアしなければならないハードルがあります。

新しい医院を探すときは、

・ホームページを見る
・Google口コミを見る
・友人・知人に評判を聞く
・EPARKなどの情報サイトを見る

などでしょう。さまざまな方法で簡単に情報が手に入る時代です。

患者さんは医院を選ぶ立場にあり、自分が調べた情報の中で一番良い医院を選び、予約に進むのです。
ここでみなさんにできることは医院の情報をどんどん発信していくことです。
発信といってもSNSやホームページだけではありません。手書き看板や口コミの強化、LINEなどの活用など……
一度院長を交えて、みなさんで意見を出し合ってみることをお勧めします。

2.新患の金銭的価値


1枚あたりのレセプト平均は約1360点と言われています。
つまりひと月に1人の患者さんから発生する保険診療の売上は平均で13,600円程度。
保険と自費の割合、既存患者に対する新患数の割合、地域や年によってまちまちですが、全国平均ではおおよそこのくらいです。

新患は初診料がかかり、患者さんの状況把握のためにパノラマやCTを撮影することもあるため、初診時の点数が高くなる傾向にあります。つまり新患が多い医院は平均点数が高くなるのです。また、新患が継続して来院すれば、毎月単純に平均で13,600円の売上が増える計算です。自費診療があればその分もプラスされます。

一方で、新患の獲得に広告費をかけている医院もあります。新規開院のほぼ100%の医院がホームページを作成するほかには、EPARKなどの有料集患サービスや、駅や道路沿いの看板、SNS広告やSEO対策・リスティングなどのネット広告、内覧会などによる集患方法があります。
1人の新患を獲得するためにもお金が掛かっているということを認識して、新患を医院スタッフ全員で大切にしなければならないのです。

3.新患の無断キャンセル


新患が無断で予約をキャンセルし来院しなかった場合、
多くの医院は「新患来なかったね」で終わらせていると思います。
しかし医院の安定性を高めるための第一歩として、
新患は簡単に手放してはならない大事な存在です。
このまませっかく入った予約を逃してもいいものでしょうか?
もちろん「無断キャンセルした人はもう来なくていい」という考え方もあります。
実際にそうした人は、その後も平気で遅刻してきたり、治療途中で離脱したりする人も多いという話をお聞きします。
しかし、たまたま忘れてしまった、予期せず仕事が長引いてしまい結果として、無断キャンセルになってしまったのかもしれません。

探す→予約する→実際に行く3ステップのうち、
2ステップ目までをクリアしてくれた人を放っておくのではなく
一度、連絡を入れてみましょう。

予約時にわかっている情報の中では、電話、メール、ショートメール(SMS)、LINEなどが考えられるでしょう。
方法は何でも構わないので、次のような内容をお伝えしてください。

「予約をいただいていましたがご来院がなく気にかけております、改めてのご予約をご希望でしたらぜひご連絡ください」

という内容がおすすめです。

再びゼロから新患を待つより、一度でも2ステップ目まで進んで来た方に来院してもらった方が早く、効率的なのは間違いありません。「連絡だけは行う」と徹底して、もし10人中1人でも戻ってきたら、それはあなたのお手柄です。

4.新患来院時の対応


最後に来院してくれた新患の方への対応です。いつも通りの接遇に加えて、
ぜひ心がけていただきたいのは、患者さんが3つの高いハードルを超えて、
やっとの思いで来院していることをスタッフ全員で理解しなければなりません。

詳しくは接遇のコラムを読んで、実践してください。
患者さんに「また来たい」と思ってもらうには、接遇の質によって結果に大きな差が生まれます。

次回は、ファンになってくれた患者さんへの対応について解説します。