予約の重要性とキャンセル対応1
~ファンの獲得と歯科医院のビジネスモデル~

ファンの獲得と
歯科医院のビジネスモデル

内覧会の開催時やその直後には、新患の予約が入ります。予約数が多いか、少ないかは医院の方針によっても変わりますが、いよいよ開業に向けてカウントダウンの時期です。
予約がなぜ重要なのか、キャンセルにはどう対応するとよいかなど、歯科医院をファンビジネスとして捉えて詳しくお伝えします。

初めは全員初診なので全員とゼロから信頼関係を築いていかないとならず大変ですね。
患者さんとのコミュニケーションのコツなどはをお読みください。
「スタッフ全員のための教科書~接遇編~」

ファンを獲得し続ける

内覧会を行うのはわずか数日間ですが、その効果は長く継続します。
内覧会から1~2年経った後も
「内覧会に来たときに知った」「駅前でもらったチラシが残っていた」という方が来院されることもあります。

「ロングテール」な宣伝方法ですが、時間が経つにつれて効果が薄くなるのも事実です。
つまり開業後は積み重ねで新たな患者さんを獲得していかなければなりませんが「獲得し続ける」のはなかなか大変です。
昔に比べて、虫歯を患う患者さんは減っていますが、その代わりに定期検診やメンテナンスで通院される方や、ホワイトニングなどの審美目的で来院される方が増えています。

フロービジネスとストックビジネス

一般的にビジネスモデルは「フロー」型と「ストック」型に分類されます。

フロー(英語:flow)は流れを意味し、顧客との関係は商品やサービスを販売・提供するときに都度発生し、売上はそのとき限りの売り切り型ビジネスのことをいいます。飲食店や洋服屋さんなどの小売業は、典型的なフロービジネスに該当します。

POINT

フロービジネスのメリットは、
短期間で収益化できる点です。
売れる商品をとにかく回転させれば、
その分収益を上げられます。
しかし、安定性の面ではやや不安があります。一度商品を購入したりサービスを利用したりした顧客がその後に、再度購入や利用を継続するかは予測できません。そのため新規契約や新規購入を常に狙わなければならないのです。

商品がブームのうちは苦もなく売れても、廃れてしまうかもしれません。タピオカ屋、高級食パン屋など一過性のブームだと想像しやすいのではないでしょうか。

フロービジネスの対義語がストックビジネスです。
ストックとは、契約により継続的に収入を得られるビジネスモデルを指します。
例えば、Netflixやフィットネスジムなど、いわゆる
サブスク(英語:subscription)と呼ばれているサービスのことです。

POINT

ストックビジネスの最大のメリットは、安定性です。
一度新規顧客を獲得すれば、退会や解約がない限り、毎月一定の売上確保ができます。時間経過とともに資産を蓄積でき、長期的な経営の見通しが立てやすくなります。
デメリットは、サービスを始めた直後から収益が積み上がるまでに一定の時間がかかるため、収益が上がりにくい点です。継続してサービスを提供する必要があるため、特に会員制ビジネスでは、継続させる仕組み作りに時間と資金を要する点も挙げられます。

さて、ここで質問です。
歯科医院はフロービジネスとストックビジネスのどちらでしょうか?








正解はフロービジネスです。
なんだか大変そうですね。

ここでみなさんにお伝えしたいことは、
フロービジネスを「みなさんの力でストックビジネスに近づけましょう」というお話です。

歯科医院もストックビジネス化できる
あなたには行きつけの飲食店やよく買う洋服屋さんはありますか?
飲食店も洋服屋さんもほかにいくらでもあるのに
それでもそのお店に通い続ける理由はなんでしょうか。
美味しい、デザインが好み、値段が手頃、
バリエーションが豊富、店員さんが好き、近い、行きやすい場所…など色々プラスの理由があるでしょう。
まとめると、通い続ける理由は、あなたがそのお店やサービスのファンだからです。

フロービジネスはいかにこのファンを
・増やし続け
・何度も足を運んでもらい
・口コミを広げてもらう
かが重要なのです。

幸いにも歯科医院には「治療」という売り切りサービスの先に、「メンテナンス」という定期サービスがあります。
わたしたちは患者さんと「◯か月ごとに定期検診しましょう」という契約はしていませんが、患者さんの医院への信頼関係をもとに定期サービスに近い形にはできます。

前述の通りストックビジネス(サブスク)の最大のメリットは安定性です。
医院の経営が安定すれば、働く人を増やしたり、便利な機材を購入できたり、みなさんの待遇や福利厚生が向上する可能性もあります。
一方、経営が不安定な医院では、ギリギリの人数の診療で休みが取れない、効率の悪い機材を使用している、給料が上がらないなどが考えられ、最悪のケースとしては人員削減や閉院が考えられます。そういった苦戦している医院の雰囲気は自然に患者さんに伝わってしまうようで、一度負のループにはまってしまうと抜け出すために多大な時間や労力を使うことになるでしょう。

安定性の高い医院、不安定な医院のどちらで働きたいですか?
不安定な医院と答える方はいないはずです。
それなら、みなさんの力で安定性の高い医院をつくりましょう
開院前の今から始められることです。

次回は「ストック化」する具体的な方法をお伝えします。