歯科の教科書[基礎]
9.歯科の職種

臨床に携わる職種

職種 資格 役割  働く場所
歯科医師 国家資格 歯科診療全般 歯科医院
歯科衛生士 国家資格 予防処置、診療補助、保健指導 歯科医院
歯科技工士 国家資格 補綴物の製作 歯科技工所
歯科助手 なし 受付・診療補助 歯科医院
用語解説

診療補助:診療アシスタントのこと。詳細後述
補綴物:型を採って作る被せ物、入れ歯などのこと

各職種の詳細

歯科医師

歯学に基づいて予防、診断および治療、そして公衆衛生の普及に携わります。その職務等については、歯科医師法で規定されています。

日本の制度では、厚生労働省が指定した大学の歯学に関する正規の課程(歯学科、6年制)を卒業し、歯科医師国家試験に合格しなければなりません。

合格すると厚生労働大臣より歯科医師免許状が与えられますが、医療機関(診療所、病院)を開設する(つまり歯科医院を開業する)には、歯科医師免許取得後1年以上の卒後臨床研修を修了
しなくてはいけません。

歯科医師(歯科衛生士・歯科技工士)免許に更新期限はなく、歯科医業停止・免許取消を決定されない限り、一生涯にわたって続けることができます

歯科衛生士

歯科衛生士は歯科衛生士法に則り、歯科医師の指導のもと、診療補助や予防処置・保健指導を行い、歯科医療をサポートする役割があります。また学校や老人ホームなどで歯の健康に関する啓もう活動を行うこともあります。

歯科衛生士になるには、3年制(最低期間)の歯科衛生士養成過程のある専門学校か短期大学または大学に通い、解剖学や病理学など、医学の基礎や口腔衛生学などの専門知識と技能を身につけて、歯科衛生士国家試験に合格しなければなりません。合格すると厚生労働大臣より歯科衛生士免許状が与えられます。

歯科衛生士法第二条に「この法律において「歯科衛生士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、歯科医師(歯科医業をなすことのできる医師を含む。以下同じ。)の指導の下に、歯牙及び口腔の疾患の予防処置として次に掲げる行為(一.歯牙露出面及び正常な歯茎の遊離縁下の付着物及び沈着物を機械的操作によつて除去すること。二.歯牙及び 口腔に対して薬物を塗布すること。)を行うことを業とする者をいう。」とあるため、日本では歯科衛生士の開業は難しい現状です。 その代わり、フリーランスとして活躍する衛生士やオーナーとなって歯科医師を雇うことで歯科医院を開業する衛生士もいます。

歯科技工士

歯科技工士は、歯科技工士法に則り、歯科医師の指示に基づいて歯科治療に必要な歯科技工物 (入れ歯、銀歯、矯正装置など)の製作・加工・修理を行います。

歯科技工士になるには、2年制(最低期間)の歯科技工士養成過程のある専門学校か短期大学または大学に通い、解剖学や理工学など、歯牙の構造や口腔再建学などの専門知識と技能を身につけて、歯科技工士国家試験に合格しなければなりません。合格すると厚生労働大臣より歯科技工士免許状が与えられます。

歯科技工士は国家資格取得後にすぐ開業することができるため、歯科医院や大学、総合病院や歯科機材メーカーへ勤務をする以外に、専門の歯科技工所を開設する道もあります。

歯科衛生士と歯科助手の違い

混同されやすい歯科助手と歯科衛生士ですが、認められている業務に違いがあります。

歯科衛生士の3大業務務

歯科衛生士には法律で認められている3つの業務があります。

このうち、歯科助手に認められている業務は「診療補助」のみです。診療補助のうち、口腔内に手を入れる補助は歯科助手に認められていないため、あくまで口腔外で行う補助が業務となります。

名称 業務 内容
予防処置 むし歯や歯周病にならないためにさまざまな処置を施すこと 歯垢や歯石の除去、フッ素の塗布など
診療補助 歯科医師の診療をサポート バキューム、器具受け渡し、材料準備など
保健指導 口の中を健康に保つための指導 口や歯のケア方法、食べ物の作り方や食べ方の指導など