歯科の教科書[基礎]
1.歯の本数と名称

[歯科の教科書 基礎編]
1.歯の名称と種類

歯の種類は大きく乳歯と永久歯に分別され、乳歯列期→混合歯列期→永久歯列期と変遷します。
この章では、乳歯と永久歯それぞれの本数や特徴について説明します。

乳歯

乳歯とは?

乳歯はいわゆる「こどもの歯」です。

生後6〜8ヶ月ごろに下顎のAから萌出し、2歳半〜3歳で20本が生え揃います。
乳歯には、日本語もしくはアルファベット記号の2通りの呼び方があります。
例えば、右下の中心から2番目の歯は「右下B(もしくは右下乳側切歯)」と呼びますが、臨床では、アルファベットを用いることがほとんどですので、記号を覚えましょう。
中心から順番にA、B、C、D、Eで、A〜Cが前歯、D〜Eを臼歯と分類しています。

乳歯の名称

場所 名称 略語 分類
中心から1本目 中切歯 A 前歯
中心から2本目 側切歯 B 前歯
中心から3本目 犬歯 C 前歯
中心から4本目 第一臼歯 D 臼歯
中心から5本目 第二臼歯 E 臼歯

乳歯の特徴

  • 歯と歯の間に隙間がある
  • 永久歯より小さい
  • むし歯になると永久歯より進行が早い
  • 永久歯より青白い色をしている
用語解説

下顎:かがく。下の歯のこと。対義語は上顎(じょうがく/上の歯のこと)
萌出:歯が生えること
前歯:ぜんし。前歯のことで切歯(せっし)とも呼ぶ。対義語は臼歯(きゅうし/奥歯のこと)

混合歯列期

混合歯列期とは?

2歳半〜3歳で生え揃った歯は顎の成長に伴い、永久歯との生え変わりの時期を迎えます。
乳歯が一気に抜けて永久歯が生えてくることはなく、乳歯が抜けながら隙間を埋めるように順番に永久歯が生えてきます。
このように乳歯と永久歯が入り混じっている歯列(歯並び)のことを、混合歯列期と呼びます。混合歯列期の期間は、おおよそ6歳〜12歳=小学生です。

乳歯が抜ける仕組み

乳歯が生えている下に永久歯がスタンバイしています。顎の成長に伴って、永久歯が乳歯を押し上げ、乳歯の歯根を吸収します。歯根を吸収された乳歯は支えがなくなりグラグラして抜けてしまいます。そして抜けたスペースに永久歯が生えてきます。

用語解説

歯列:しれつ。歯並びのこと
歯根:しこん。歯の根のこと(後述)

永久歯

永久歯とは?

永久歯とは、おとなの歯のこと。6歳ごろになると、下1もしくは下6から萌出し、12〜13歳ごろで28本が生え揃い、親知らずを合わせると最大32本
です。
親知らずは人によって本数や生え方が異なり、全くない人もいれば4本しっかり生えている人もいます。親知らずが生えてくるタイミングも人によって異なりますが、レントゲンを撮ると親知らずがあるかどうかがわかります。
乳歯はアルファベットで呼びましたが、永久歯は数字で呼びます。数え方は乳歯同様、中心の歯から順番に1、2、3…と数え、1〜3は前歯、4〜8は臼歯に分類されます。

永久歯の名称

場所 名称 略語 分類
中心から1本目 中切歯 1 前歯
中心から2本目 側切歯 2 前歯
中心から3本目 犬歯 3 前歯
中心から4本目 第一小臼歯 4 臼歯
中心から5本目 第二小臼歯 5 臼歯
中心から6本目 第一大臼歯 6 臼歯
中心から7本目 第二大臼歯 7 臼歯
中心から8本目 第三大臼歯 8 臼歯

永久歯の特徴

番号 別名 特徴
1 なし 上下で大きさが異なる。上の1は大きい
2 なし 先天欠如や矮小歯が他の歯に比べて多い
3 (転位している場合)八重歯、糸切り歯 歯の根が一番長い
4 なし 矯正の際に抜歯対象となることがある
5 なし 4と5は小臼歯と呼ばれ、6〜8の大臼歯とは区別
6 6歳臼歯 一番大きく、特に重要な歯。
7 12歳臼歯 1〜7の中で一番遅く生える
8 智歯、親知らず 最も先天欠如が多い

院内では「右上1」「左下5」と呼ぶことが多いですが、患者さんに話す際は「糸切り歯」「6歳臼歯」などと呼ぶとわかりやすいでしょう。
乳歯は、前歯3本+乳臼歯2本。永久歯は、前歯3本+小臼歯2本+大臼歯2〜3本の構成です。覚えておきましょう。

用語解説

先天欠如:先欠(せんけつ)と略す場合も。生まれつきない歯のこと。
矮小歯:わいしょうし。通常より小さい歯のこと。

この記事のまとめ
  • 乳歯は生後6〜8ヶ月から生え始め、2歳半〜3歳で20本が生えそろう
  • 乳歯は中心からA、B、C、D、Eと呼ぶ
  • 永久歯は6歳ごろから生え始め、12〜13歳で28本が生えそろう
  • 永久歯は中心から1、2、3…と呼び、8は先天欠如のことがある